能登町の里海のエリアは、海と山に恵まれた集落が連なる場所。地震で傷ついた集落もありますが、暮らしは続いています。人や営みにそっと寄り添い、関わり方を探してみませんか。未来のにぎやかさを育てる一歩になります。
このプロジェクトについて
石川県・能登半島の奥に、小さな漁港をいくつも抱えた集落の連なりがあります。
町の名前は能登町。海と山がひと続きになり、車を少し走らせれば視界いっぱいに水平線が開けます。今回のインターンの舞台は、まさに“里海”の暮らしの只中にあります。
能登町の里海沿岸部は、2024年の地震とその後の水害で大きな被害を受けました。
岸壁や道路は傷つき、家屋にもひびが入りましたが、漁船のエンジン音と炊事の湯気は途切れることなく上がり続けています。静かに、しかし確かに暮らしは続いています。
町内のある港町では、震災よりもずっと前から「関係人口」と呼ばれる外からの人との交流を少しずつ積み重ねてきました。
能登町の里海には、ジブリ映画に出てくるような懐かしい海辺の情景が残っています。干潮になると磯が広がり、海藻を摘む人影が点々とし、沖では定置網を上げる船が揺れます。目を閉じればカモメの声と潮の匂いが混ざり合い、夕刻には空と海が溶けるように染まります。そんな毎日が、特別ではなく“あたりまえ”として続く地域です。
けれど課題もあります。震災被害と高齢化が重なり、網を繕う人、港を掃除する人、祭礼の準備をする人が足りなくなってきました。
それでも集落の人たちは希望を捨てていません。外から誰かが関わってくれることで、里海の暮らしがもう一度ゆっくりと動き出す——その手応えを感じ始めています。
子育てに奮闘する若い家族もいます。少ない人数で工夫しながら、港の祭礼を守り、季節ごとの魚の干物づくりや塩蔵ワカメの手仕事を大切にしています。
ただ、「関係人口って実際に何をすれば?」「どこまで頼っていいの?」——地域の人もまだ戸惑っています。だからこそ、お互いが無理なく楽しみながら、少しずつ関係を育てていければと願っています。
「長く暮らす必要はありません」——そう言うと誤解を招くかもしれません。本当は、できるなら長く関わってくださるのが何よりありがたい。でも、たとえば毎年同じ季節に数日だけでも訪れてくれる人がいれば、それだけで港は大きな力を得ます。
「また来てくれる」。その積み重ねが、祭礼の太鼓とともに港を“にぎやか”にし、里海が息を吹き返す道だと私たちは考えています。
特別なスキルは要りません。網を畳む、魚を箱に詰める、浜辺でゴミを拾う、おばあちゃんとお茶を飲む、子どもと磯遊びをする——そんな“ふつうのこと”が、ここでは心から歓迎されます。
そして、ある日ふと地域のおばあちゃんが言います。
「孫みたいな子がまた来てくれて、うれしいわ」
あなたが過ごす時間は、どこかの家庭にとって“あたらしいカタチの孫”になることもあるのです。
もう一つ、大切な約束をお伝えします。あなたがこの里海で考え、提案してくれたアイデアや企画は、体験で終わらせません。私たちはそれを地域の復興事業の「種」として必ず形にします。
あなたの想いと工夫が、実際のかたちとなり、祭礼や漁の現場で息づいていく——それこそがこのプロジェクトの核心であり、地域とあなたが本当に関わる証だと信じています。
能登町の集落の復興は、建物を直すことだけではありません。人と人との関係をやさしく紡ぎなおすこと。その一つひとつが未来をつくっていきます。
この里海と、どんなふうに関われるか。海と山と人のあいだで、ゆっくり探してみませんか。
あなたの関わりが、この土地に潮風を送り、小さな未来の芽を育ててくれることを、心から願っています。
プログラム要項
仕事内容 |
被災した里海集落が持続するための関係人口企画を考えて事業化するプロセス
STEP1:寝床と風呂と食料調達の確保とご挨拶をしましょう。 ・滞在期間中に拠点となる場所の確認や食材調達(買い物)などの導線などの確認 ・主に関わる受け入れ側の人たちとの顔合わせと食事会
STEP2:まずはひとつ、お手伝いから始めましょう。 ・事前に設定している「草刈り」や「祭礼」などのお手伝い ・いろいろな世代と話をする機会を提供します
STEP3:お手伝いや交流を探したり、つくってみよう。 ・交流の中で出てくる「お困りごと」や、更に「諦めごと」などをヒアリングし、お手伝いできることを見つける ・滞在期間中に参加する別のチームとの交流や受入補助などのお手伝い ・他の集落や被災地も視察し、集落の実態を感じましょう。
STEP4:振り返り+事業化に向けた打ち合わせ(オンライン) ・滞在中の振り返り(感想や、今後受け入れるためのポジティブなヒントを教えて下さい) ・考えていただいた企画を元に、スタッフや関係者と共にブラッシュアップし事業化に向けて打ち合わせを必要回数行います。 ★学業にマイナス影響となりたくないので、無理に時間を使うことはしなくてOKです。 ★継続して関わることももちろん大歓迎です。
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インターン生に期待する成果 |
・日常的な関わりや対話を通じて、「また来てほしい」と思ってもらえる関係性を築くこと。 ・「年に何回、どんな形で関わると良いか?」という問いに対して、自分なりの仮説やスタイルを持ち帰ること。 ・関係人口に対する住民側の不安や遠慮が、学生との関わりを通じて和らぎ、「また受け入れたい」と思ってもらえること。 ・一度きりの滞在では終わらせず、「次はこんなふうに関わってみたい」という想いを言語化すること。 |
インターン修了時に得られる経験 |
・日本古来からの里海文化を肌で感じる ・古民家の維持から学ぶ“暮らしをつなぐ知恵” ・里山集落がどのような対話で形成されているかの知見 ・旬の夏野菜に触れる“季節のリズム”の体験(本当の野菜の美味しさ) ・震災、水害を乗り越えて暮らす“日常のたくましさ” ・子育て世帯との対話から見える“地方の暮らしのリアル” ・能登にまた帰って来ることができる場所と家族 |
対象となる人 |
募集人数:1-2人(高校生不可)
・里山の暮らしを体験したり、楽しみたい人 ・自炊や野遊びに積極的に挑戦できる人 ・シニアのお話を楽しく聞ける人 ・男女不問
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活動条件 |
活動スタイル:住み込み 活動期間:8月中旬~9月上旬(要相談) 活動頻度:日の出から日の入りまで。概ね日中。 活動支援金:なし 交通費:自家用車必須。ガソリン代の補助あり 宿泊費:なし 宿泊先:ホームステイもしくは集会所など |
活動支援金 |
あり |
団体の紹介
来てもいい、通ってもいい。関わることで、集落は強くなる。
能登町定住促進協議会は、石川県能登町において移住・定住の促進、関係人口・交流人口の創出を通じて、地域の活性化と持続可能な集落づくりを推進する一般社団法人です。町内各地で人口減少や高齢化が進むなか、地域内外の多様な人々の関わりを支える仕組みづくりを行っています。令和6年の能登半島地震および大水害以降は、特に被災集落の復旧・復興支援に注力し、地域住民と外部人材が協働しながら新たな暮らしの再建とコミュニティの再生を支援しています。行政や企業、大学とも連携しながら、関係人口による「賑やかな過疎」の実現を目指しています。
代表者 |
田代信夫 |
設立 |
2015/04/01 |
従業員数 |
7名 |
ホームページURL |
https://nototown.jp/ |
住所(郵便番号なし) |
石川県鳳珠郡能登町宇出津ト字29-2 コンセールのと1F(仮事務所) |
受け入れ団体からのメッセージ
能登半島地震で被災した里海集落の姿と、強く美しく、たくましく集落活動を再建している想いを感じてください。能登の復興として何が本当に望まれているのか、少しでも伝わると嬉しいです。
能登町定住促進協議会 専務理事/移住コーディネーター 森進之介
石川県金沢市出身。民間企業や起業などさまざまな職業を経験した後、2015年、家族とともに石川県能登町に移住。移住を検討していた当時、地域から「移住コーディネーター」の仕事を紹介されたことをきっかけに、地域と人をつなぐ役割を担うようになりました。現在は、能登町定住促進協議会の専務理事として、町内の集落支援や移住・定住、関係人口の受け入れ体制づくりを進めています。令和6年の能登半島地震では、自宅を失い、家族にも大きな影響がありましたが、地域の方々とともに再建に向けて歩んでいます。「また来てくれた」と言ってもらえる関係を大切に、外の人と地域の未来をつなぐ活動を続けています。